金額では測れない「お金」の価値

コイン

今回はいつもより視野を広げて、「お金」についてお話しします。

資本主義社会において、「お金」はどんな場面でもついて回るもの。

誰にとっても身近な存在ではあると思いますが、あなたは本当の意味で「お金」そのものについて真剣に考えたことはあるでしょうか。

振り返ってみれば、実は私も最近まで、真剣にお金について考えたことはなかったと思います。

「そもそもお金とは」というふうに考えるようになったのは、経営者になってから。

しかし、お金と向き合うのはかなり重要なことですし、こうして真剣に考えることが自分を変えてくれました。さらには、人生もより良い方向に進んでいくきっかけになったと思っているんです。

欲しいものがあるからいくら欲しい、とか、今月の出費はいくらだ、とか、「お金」というとどうしても金額そのものに気が向きがちかもしれませんね。

しかし、お金の価値というのはそれだけではない、ということを今回お話ししていきたいと思います。

価値観を一変させた会社の一大事

私自身も「お金」について真剣に考える大きなきっかけとなったこと。
それは、私個人としてもクロスグループとしても最大の窮地といって過言ではない、国税局の調査でした。

言い訳をするわけではないのですが、私としては罪の意識もなく節税のつもりでおこなっていた会計処理が違法とみなされてしまったのがことの発端です。
それが最終的に、私や会社はもちろんのこと、取引先など多くの関係者も調査を受ける一大事へと発展しました。

調査とは言うものの、実際のところは「取り調べ」です。

例えそれが事実でなくても、国税局の職員の言うことを「その通りです」と答えるまでは延々と調査は続く、そんな日々が何か月も続きました。

仕事もままならないほど毎日のように取り調べが行われ、そして何よりも「これで会社が潰れるかもしれない」という状況が続いていたので、想像以上に精神的ダメージも大きかったです。

これは私に限ったことではなく、関係者の方も同じでした。
そして、結果的にこちらにとって不利な証言を引き出された方もいて、当時は軽い人間不信に陥りそうでしたね。

しかし、そんな会社の運命を揺るがすような状況でも誰一人欠けることなくついてきてくれた社員や、家族の存在があり、「国税局の調査」という窮地もなんとか乗り越えることができました。

そして、この一連の出来事は、間違いなく私の人生においてあらゆる価値観を一変させたんです。

「お金」は使ってこそ初めて価値のあるもの

価値観が変わったものの最たる例が、本日のテーマに掲げた「お金」ですね。

それまでの私は、「お金」を「お金」そのものとしか見ていなかったように思います。

ただ、この出来事をきっかけに、良くも悪くも「お金」というものに向き合わざるを得ない状況になって、私は「お金」にまつわる色んなことに気付くことができました。

まずひとつに、お金は「使うことで初めて価値を生み出すもの」であるということ。

例え何百億というお金を持っていたとしても、銀行口座に積んでおくだけではただの理論上の数字であり、何の価値も生み出しません。

もっと言えば、生前どんなにお金があったとしても、死んでしまえばあの世に持っていくことはできません。

しかし、お金はさまざまな価値と交換することができる。わかりやすいところで言えば、物を手に入れたり、食事やサービスに変わったり、お金は使うことで初めて、単なる数字から「価値」に生まれ変わるんです。

それに気付いた時、今度は「私は何にお金を使うことが幸福なのか?」ということを考えました。

「お金」と「幸福」

お金をお金のまま眠らせることなく、何に使うのが最も幸福なのか。
私なりに考えた結論としては、大きく2つです。

ひとつは、家族のために使うということ。

創業当時は会社を軌道に乗せて成功させる、ということが最優先事項だったため、家庭も顧みず「1日のうち20時間は仕事」というような生活を送っていました。

今思い返してみても、よく家族は私を支え続けてくれたものです。
現在は改めて家族の存在の大きさやありがたさをしみじみと感じていますし、今までの分も還元していきたいと心から思っています。

そんな今の私にとって、子どもたちの将来の夢のためだったり妻のためだったり、ということにお金を使うのは、自分のこと以上に幸福な気持ちになるんです。

そしてもうひとつのお金の使い道は、会社の発展のために使うということ。

私は、会社を「個人の経済活動の源」として捉えています。

会社で働いて、その対価を得た人が、子どもの養育費、友人や恋人へのプレゼントに使う。
はたまた消費者として買い物をして、別の会社の売上に貢献する。

このような「個人の経済活動」は、お金と幸せを循環させるものです。

そして、この源をより多く生み出していけるように会社を発展させることが、経営者である私の責任であり喜びでもあるんですね。

一人ひとりが自由にお金を循環させることで、直接会社で働く以外の人も幸せにできて、世の中の役にも立てる。

これは会社経営の醍醐味とも言えるのではないかなと思っています。

そして、「循環させることで多くの人を幸せにできる」というこの仕組みこそが、私が思うお金の真の価値です。

冒頭で、お金の価値は金額だけではないとお話ししたのは、こういうことです。

お金というのは不思議で、循環させて多くの人を幸せにすると、さらに自分のもとにも返ってくる不思議な効果があるように思います。

だからこの循環を作ることは、一方的に誰かに豊かさを提供しているようで、巡り巡って自分も豊かにしていけるんですね。

起業を考えているというあなたも、人生で何か目標を達成したいと考えている方も、一度立ち止まって「お金」の理解を深めてみてください。今後の人生のヒントを得られるかもしれません。

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