「起業して成功するためには何が必要ですか?」

経営者として、様々な場に顔を出すとこういったご質問をよくいただきます。

私は立場柄、これまで多くの起業家や経営者とも顔を合わせ、それぞれが思う、経営の成功法則や起業家としての在り方など、包み隠さず本音で話をしてきたと思います。

しかし、それぞれ状況や環境も異なれば、戦い抜いてきた時代も違う。

細かく言えば、扱う商品も違えば、組織の規模や体制だってまるで違う。

もちろん、その組織を構成する、一人ひとりの社員も。

つまり、何が言いたいかというと、私と同じ経営者はもちろん、「あなたと全く同じ起業家は、この世界に誰一人としていない。」ということです。

しかし、だからといって、起業家のための成功ノウハウなんて存在しない、とにかく自分の全てを捧げて頑張るだけ、なんて言ってしまっては、そこで話が終わってしまいます。

そこで、これまでの会社経営を振り返って、「起業家として重要なことは何なのか?」私なりに、1つの答えを出しました。

これまでの私の経験はもちろん、今もなお、現役で最前線を走り続けている、経営者の方々を改めて振り返ると、そこに共通しているのは、「明確な未来像をイメージしている」という点だということ。

明確な未来像、というと、あなたはどんなことを思い浮かべるでしょうか?

「1年以内に事業を軌道に乗せて、 翌年にはこんな展開をして…」
「このビジネスを軸に世間の注目を集めて、さらに革新的なサービスで収益化を図って…」

そんな明るい未来をイメージすることも大切ですが、ここで私がお伝えしたいのは、むしろ逆です。

もし、思い通りにいかなかった時、自己破産や会社を潰す方法は、あなたのイメージにありますか?

万が一失敗した時に、それを背負って生きていけるのか。

そういったリスクにも最初から、きちんと目を向けておかなければなりません。

そうすることで、はじめて自分を冷静に分析できるようになると思います。

「数年後にはどんな理想の自分になっているか」
「いつ頃になったら上場しようか」

そんな舞い上がった状態では、正常な自己分析はできません。

もしかしたら、あなたの想像する将来設計には大きな欠点があるかもしれませんし、思いがけない展開も起こりうるでしょう。

場合によっては、起業するよりも別の道に進んだほうが、幸せな人生を送れる可能性だってあるかもしれません。

そうした視点を持つためにも、客観的に、

「うまくいった自分」
「うまくいかなかった自分」

それぞれを見つめるところが、起業家としてのスタートラインであり、長い間、経営者として第一線を走り続けるポイントではないかと考えています。

そして、もうひとつ、起業家が陥りがちな危険な思考についてもお伝えしておきましょう。

それは、どういったビジネスモデルで勝負するのかを考える際に、

「お金になるかどうか?」

という観点だけで考えてはいけない、ということです。

驚くかもしれませんが、そもそも「お金」というモチベーションは、実は長続きしません。

それよりも、

「時間を忘れて没頭できる」
「毎日やっても飽きない」

というあなた自身の根幹に根付くビジネスで収益化を狙うほうが、起業家としての成功確率はより上がるでしょう。

私の場合であれば、投資やトレードに没頭して、毎日の勉強が楽しいと本気で思えたからこそ、それをビジネスの軸にしました。

もちろん、その対象は人によって様々でしょうし、むしろ、みんな違うからこそ、新しいビジネスが生まれてくると思います。

ぜひ、これまでの人生を振り返りながら、あなたにとって一番向いていると思うものを考えてみてください。

「そんな悠長なことを言っている間に、成功のチャンスを逃してしまうのでは?」

そう焦る方もいるかもしれませんが、起業して成功したいのであれば焦りは禁物です。

人生100年といわれる時代に、「学生のうちに準備を済ませて……」などと慌てても、何一つ良いことはありません。

むしろ、いろいろな経験を積んでから目指す起業は、そこで得た人生経験がより色濃く反映され、

「あなたに本当に合った起業、そして、あなたにしかできない起業」

ができるはずです。

その証拠に、私が会社を起こしたのは38歳の時。

いま振り返ってみても、それまでの人生経験を土台にできたからこそ、創業から10年を超えた今でも、安定した経営ができていると確信しています。

世の中を見渡してみても、20代の起業家が起こした会社が、次々と廃業に追い込まれている姿は、珍しくありませんよね。

それを思うと、やはり人生経験というベースを持たずに、難しい分野に挑戦してしまうことは、得策ではないといえます。

もしもいま、起業の想いを胸に秘めていたとしても、たとえば30歳まではどこかの会社で働いて自分を磨く、というのも悪い選択肢ではないと思います。

もしかすると
「雇われるのは絶対に嫌だ、起業したいんだ。」
という方もいるかと思いますが、それはそもそも「雇われるのが嫌だから起業」という発想なので、起業家には向いていないと思います。

先ほどもお伝えした通り、本当にそれが好きで、そのビジネスに心血を注ぐ覚悟がある。そういった人でないと会社経営は続かないと思います。

その覚悟があれば、

「自分がいま何をするべきなのか」
「どんな知識や経験が必要なのか」
「リスクをどのように回避するのか」

という点に、真剣に向き合えることでしょう。

だからこそ、あなたが成功するために必要なものは、「冷静な自己分析」それに尽きると思います。

これから起業を考えている方へ、私がここで発信することが、少しでも参考になれば幸いです。

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