ビジネスの幅を広げていく上で『人脈』は重要だ、とよく言われます。
「人と人の繋がりが広がっていく中で、新しいビジネスチャンスに発展することがある。だから人脈は広げておいたほうがいい」ということですね。
意外な交流、新しい業界との出会いなど、仕事の幅が広がる場面は確かにあります。
しかし、”ただ顔が広ければビジネスがうまくいく”といった単純なものでもありません。
むしろ、私の場合は人脈を広げずにビジネスを大きくしてきました。
そこで今回は、この『人脈』と『ビジネスチャンス』についてお話ししていきます。
これから経営者を目指す方はもちろん、多くの働く方にとって役立つ部分があると思うので、ぜひ最後までご覧ください。
人脈を広げれば本当にビジネスを生むのか?
会社を経営していると、本当に多くの人と仕事をともにします。
前回の話題では「社員とのコミュニケーション」といったこともお伝えしましたが、それ以外にもさまざまな取引先、投資の講師を務めていただく方などとも交流してきました。
そうして多くの方と関わる中で、新たなアイディアが生まれたり、仕事の依頼をいただいたりするので、人脈によってビジネスが生まれるという側面は確かにあります。
ただ、それがすべて売上の増加や会社の発展に直結するわけではありません。
実際に知り合いとの間で生まれた新しいビジネスでWin-Winの関係を築けたのは、大げさではなく全体の0.01%くらいだと感じています。
「知り合いの数さえ増やせば、おのずと仕事が増える」とはいかないのが、人脈とビジネスの難しいところ。ここで大切なのは人数ではなく、その知り合いとの関係性です。
あまりよく知らない人と、資金や労力を注いで一緒に仕事を進めようとは思いませんよね。
ビジネスパートナーとして一緒に何かをスタートする前に、まずはしっかりコミュニケーションを取る必要があります。
そしてお互いが「この人なら信用できる」という確信を持った時、初めてそこで新しいビジネスが動き出すのではないでしょうか。
ただ、時間がかかれば気遣いによって心の疲れを感じることもあります。
その上、最終的にビジネスにならない可能性も大いにあるわけですから、正直、あまり人間関係を広げても大変なだけだというのが僕の正直な気持ちです。
人脈づくりは人に任せてもいい
こういった話をすると「人脈」は過程の割にリターンが求められないのかと、単にマイナスなものと考えてしまう人もいるかもしれません。
しかし私が言いたいのは「人の繋がり」そのものが無意味、という話ではありません。
ここでお伝えしたいのは「人脈は自分が率先して広げなくてもいい」ということ。
つまり、「人脈づくり」は人に任せてもいいのです。
世の中には、人脈づくりが得意だという人が一定数いますので、そういう人が自分の周りに2~3人いれば、実は事足りてしまうのです。
例えば、新しく飲食店をやってみたいと思ったとしましょう。
その際に、すでに人脈が多く、関係性が築けている人に相談してみるのです。
「それなら、Aさんという人が複数の飲食店のオーナーをやっているから!」と、紹介してもらえば、自分自身で必死に人脈を広げようと焦ったり、膨大な手間をかけなくても大丈夫というわけです。
その代わり「紹介料として、1割ください」と言われたら、それはきちんと払う必要があります。
ここだけ切り取ってみると「1割か。結局余計にお金がかかるんじゃないか」と感じてしまう方もいるでしょう。しかし、本来なら自分が数年かけてやらなければいけなかった“そのビジネスに詳しい人と知り合う”という作業を代わってやってもらえたのですから、リターンを渡すこと自体当然だと僕は思います。
これは、ビジネスで人と付き合っていく上で最低限のマナーだと思いますし、いずれめぐりにめぐって自分に帰っても来ます。
もちろん、あなた自身が人脈づくりを得意だったり好きだったりするなら、それを止めるお話ではありません。ただ、無理に人脈づくりをした結果、数年かけても広く浅い関係しか築けなかった、とならないように注意が必要です。
先ほどもお伝えしたとおり、お互いの信頼関係を築けてようやくビジネスチャンスに繋がります。
そのため、人脈は無理には広げる必要はありませんが、周囲の信頼できる少数の人と「太く長く」関係性を築くことは絶対に忘れないでくださいね。