前澤社長の会見から考える経営者としての資質

経営者としての資質

※これは2018年1月26日の記事です。

今回のポッドキャストでは、自分がここ最近のニュースの中でも、特に大きな衝撃を受けた、ZOZOの前澤さんが経営権を手放したニュースについてお話していきたいと思います。

あまりよく知らない方のために簡単にまとめると、株式会社ZOZOの社長である前澤さんが、自分で所有している株式の大半を売却。

そしてSoftBankの傘下であるYahoo!に買収されたことによって、孫さんの軍門に下るかたちとなった、というニュースです。

その発表をした会見の中で見えた部分、見えなかった部分などありますが、具体にどういう経緯で創業者の権利が幕を閉じることとなったのか、会見を通して前澤さんの語った言葉や、私の考えも含めてお伝えしていきます。

ここでの気づきは経営者ももちろんですが、トレーダー、投資家としても見逃せない内容だと感じていますので、ぜひ最後までご覧くださいね。

経営者に必要な資質とは

私自身もクロスグループの創業、経営に携わってきた身ですから、業種こそ違うものの前澤さんの考え方ややり方には、影響を受ける部分は少なからずあったと思います。

本人もおっしゃっていますが、基本的に彼の考え方は”理論”よりも”感性”に基づいているんですね。

これは研究結果にも出ているのですが、理論的に積み上げる経営スタイルは、成功確率が低いと言われています。

なぜ、理論的に積み上げる経営スタイルがうまくいかないのか、それは世の中が不確実性で溢れているからだと私は思います。

投資にも「絶対」が存在しないように、世の中にある事象の多くは、不確実であることがほとんどです。

そんな確実といえない中でいくら過去の事象から理論や数字を積み上げていっても、世界70億人の意志が織りなす変化を読み解き、経営を成功まで導くというのは不可能ではないでしょうか。

そう考えた場合に、実は”感性”に従いながら時代を読み解く力のほうが、企業経営においては必要になってくるんです。

もちろん経営において、理論の構築が必要な時もありますが、経営の方針や方向を決める時に、理論が入り過ぎてしまうと案外うまくいきません。

これは僕自身も世間を見ていて感じることです。

高学歴の人ほど理屈を積み上げて、数字で分析していく経営スタイルをやりたがる人が多いんですよね。

ただ、実際に日本の最高峰の東大卒の人でも、起業して成功する確率は他に比べてものすごく低いです。

これは世界各国共通して言えることですが、起業者・経営者の資質とアカデミックな勉強ができるできないというのは、全く違うものなんだと改めて感じさせられます。

その点を前澤さんは地で行ったということに、当時、僕は好感を持っていました。

前澤さん自身が先ほど紹介した、理論的に積み上げる経営スタイルがうまくいかないというデータを知っていたかどうかはわかりません。

ただ、彼がそういう経営をやらなかったというのは、ZOZOがここまで成長できた非常に大きな要因だったと思います。

実際に、前澤さんは企業のスタートアップが非常に上手でした。

しかし、長く続く会社を舵取りしてくというのは、どうしてもいろいろな人の思惑が入ってくるので非常に難しい面があります。

それに加え、感性が何十年も時代に合致することはないので、今ここで経営から身を引いたのは、ひとつの正解かなと思います。

ただ今回、株式を売却して2400億円の売却益を得るわけですが、彼の株式はほとんどが金融機関の担保に入っています。

2400億円を手に入れて羨ましいとか妬みを感じるかもしれませんが、多くの起業家、経営者は個人資産を全部洗い出してみるとマイナスになり、今回の前澤さんの場合も同様なのではないかなと思います。

多くの起業家、経営者はビジネスとして回って利益が出ているから、良い生活や企業運営ができているように見えるかもしれません。

しかしその裏で多くの方が、赤字を抱えているということを理解しておかなければなりません。

前澤社長の会見から見えるもの

さて、そんな前澤さんが経営権を手放すにあたって開かれた会見において、私が注目していたことが2つあります。

まず1つは、前澤さんが経営権を手放してしまったということ。

これは、前澤さん自身が、自分の感性では今後の経営が持たないと判断したか、周りから勧告があったかわかりませんが重要なポイントです。

ここでトレーダーを例に考えてみましょう。

トレーダーは、自分が利益になると思ってポジションメイクをしたら、そこから価値が上がっていかないと利益を得られません。

そのため、ポジションメイクをしたら次は、どうやって価値を上げていき利食いをするか、という問題を考える必要があります。

これをやっているのは、トレーダーのみならず前澤さんも他の経営者も一緒なのです。

そのエグジットの仕方は、経営者であれば、株式の売却や上場、相続や贈与という方法もあります。

今回の前澤さんは、株式を売却した結果、2400億円の売却益を得ました。

しかし先ほども説明したように、彼自身は株式の多くを金融機関の担保に差し入れているので、今後も大きなリスクを抱えていることになります。

夢を追った結果、手元にほとんど残らず、大きなリスクだけを抱えたまま幕引きとなってしまった彼の悔しさや涙に私はすごく共感しました。

それとは別に、もうひとつ私が注目したのは、彼自身の言葉で「Twitterをやったのは間違いだった。失敗だった」という発言があったこと。

ZOZOを世の中の多くの人に認知させた最も大きなきっかけが、前澤さんのTwitter開設だったと思います。

もちろんTwitterを始める前から、前澤さんはZOZOの業績をどんどん伸ばしていて、「時代の寵児(ちょうじ)」と言ってもてはやされた人でしたが、Twitterを始めたことでその注目度はさらに高まりました。

一見すると良いことばかりのようにも見えますし、SNSというものは、やり方次第で、その人を助けたり精神的な安定をもたらしたりすることがあるのかもしれません。

しかし経営者がSNSをどんどん更新すると、それには必ず反響が付いてきます。

その反響につられて、彼の感性や経営方針がブレてしまったことは、絶対にあったでしょうね。

この感性や経営方針のブレが少なからず、今回の経営権を手放すことにつながっていると思います。

実際に彼自身もそれがわかっていたから、「Twitterをやったのは間違いだった」と発言したのではないでしょうか。

そう考えると、彼の発言はすごく含蓄のある発言に感じられますね。

このように、会見の中で注目していた2つの点について見てみると、やはり投資家も経営者も似ている重要な本質部分が多いと感じました。

たとえば、短期売買のトレーダーだったら、複数のポジションを持って利益を狙っていくでしょうから、これは長期で腰を据えて行う企業経営とは確かに大きく違うといえます。

しかし、短期のトレーダーと長期の経営者も、本質は一緒なんです。

どちらも自分が持ったポジションの価値を高めるということを目指しており、その際に、さまざまな情報に振り回されてしまうと、結果は良いものにならない。

今は情報が簡単にたくさん手に入ります。

だからこそ、SNSや情報に振り回されて失敗する人がものすごく多いです。

本来だったら勝てたかもしれないものでさえ、情報に振り回されてしまって残念な結果で終わることが往々にあると思います。

良い情報を集めることはとても大事ですが、邪魔や害を及ぼす情報にまで、振り回される可能性がある。

そういったことをよく認識した上で、SNSを使っていかなくてはならないと前澤さんの言葉から改めて感じました。

前澤さんの今回の出来事は、1人の経営者としても非常に注目度が高く、また彼の生き方というのは、多くの示唆を与えてくれたと思います。

今後も彼には注目していきたいですね。

PAGE TOP